日本三大悪妖怪について

うも僕です。

皆さんは日本三大悪妖怪をご存知だろうか。
玉藻の前酒呑童子、そして大嶽丸だ。

この3つ目は大嶽丸ではなく崇徳天皇であるという主張する方もいる。
しかし崇徳天皇は実在した人間であり死後怨霊となった経緯から、今回は妖怪という括りで大嶽丸を3つ目としたい。
以前の記事「崇徳天皇について

さて、玉藻の前と酒呑童子は割と有名だが、この大嶽丸を知っているという人はあまりいないのではないだろうか。
今回は大嶽丸について少し掘り下げて行きたいと思う。

大嶽丸は御伽草子の田村語りというお話に出てくる1つで、平安時代を背景とした坂上田村麻呂という人物が主人公のファンタジー系ラノベだ。

桓武天皇の時代。

伊勢の国の鈴鹿山(現在の三重県と滋賀県の境)に峠を往来する人々を襲う大嶽丸という鬼が出現し、非道の限りを尽くしていた。
当時の帝の命により、坂上田村麻呂が大嶽丸討伐のために三万の軍を率いて鈴鹿山に向う。

だが田村麻呂の軍に対し、大嶽丸は雷鳴を轟かせ、火の雨を降らせて応戦し、決着が付かないまま数年に渡って戦いは続いた。

時を同じくして鈴鹿山に鈴鹿御前という天女が住んでおり、大嶽山は鈴鹿御前のその美しさに恋い焦がれ、イケメンに変身しては夜な夜な鈴鹿御前の元に通い詰めるが、想いは叶わず業を煮やしていた。

そんなある日、田村麻呂の夢に見知らぬ老人が現れ、鈴鹿御前の存在を告げる。

翌日、田村麻呂は夢のお告げに従い鈴鹿山の奥深く入ると一人の美しい女性に出会う。
女性に誘われるままに館を訪れ契りを交わすのだが、その女性こそ鈴鹿御前だった。

なんと鈴鹿御前は田村麻呂が鈴鹿山に出没する鬼神を退治するのを助けるために天下ったというのだ。

鈴鹿御前によると大嶽丸は阿修羅から贈られた魔法の剣「大通連(大とうれん)」「小通連(小とうれん)」「顕明連(けんみょうれん)」の三振り剣「三明の剣」を所有しており、それら三振りがあるうちは大嶽丸は倒せないとのこと。
そこで二人はまず大嶽丸から「三明の剣」を奪うための一計を案じる。

その夜、いつものように鈴鹿御前の元に現れたイケメン大嶽丸に鈴鹿御前は告げた。

「田村麻呂という武将から命を狙われています。だから身を守るためにどうぞ貴方の武器を私に貸してください」こうして首尾よく「三明の剣」のうち「大通連(大とうれん)」「小通連(小とうれん)」を奪うことに成功する。
鈴鹿御前「大嶽丸チョレェ~www」

そして「三明の剣」のうち二振りを失ったことをチャンスとばかりに田村麻呂が現れ大嶽丸と戦闘開始。

大嶽丸は身の丈十丈(約3メートル)の巨大な鬼となり、神通力の全てをもって豪雨のように剣や矛を田村麻呂に浴びせる。
対する田村麻呂は千手観音と毘沙門天の加護を得て応戦。
大嶽丸が数千もの影分身の術を使うと、田村麻呂は弓を引き放たれた一矢は万の矢に分かれ、数千の分身を射抜く。

そんな人外バトルを繰り広げついに最後のとき。
田村麻呂の素早の剣(ソハヤノツルギ)によって大嶽丸を斬首。
「これで勝ったと思うな。私が死んでも第二第三の大嶽丸が…」と言って力尽き、大嶽丸の首は都へと運ばれましたとさ。

こうして大嶽丸のと死闘を制し人々に平和を貰たらしたのだった。
めでたしめでたし…と思っていた時期もありました。

討ち取られた大嶽丸の魂は天竺(インド)へと戻り、三明の剣の一振り「顕明連(けんみょうれん)」の力で再生。
再び鬼となって陸奥の国(南東北)に出没する。

「!? ま、まさかこの気は大嶽丸!」
大嶽丸の出現を察知した田村麻呂と鈴鹿御前は再び討伐のために今度は陸奥へと向かった。

大嶽丸は田村麻呂によって二度目の首を落とされたが、最後の力を振り絞り、首を宙へと舞い上げそのまま田村麻呂の兜に食らいつく。
だが田村麻呂は兜を重ねて被っていたため難を逃れ、力を使い果たした大嶽丸の首は平等院に納められることになったのだとか。

田村麻呂「兜を重ねて被ってなかったらマミってたわ…(小並感」

今度こそ大嶽丸を滅ぼし人々に平和を貰たらしたのだった。
…というのが大嶽丸の大まかな話。

一度は退治したのに、復活するというしぶとさが恐ろしいね。
ただ、田村麻呂に殺されるから武器を貸してと懇願する鈴鹿御前に二振りも剣を貸してあげる辺り、全くの悪鬼という訳でもなさそう。
またいざ戦闘となれば割と正々堂々と戦う辺りも、狡猾な玉藻の前より恐ろしさが劣る。

玉藻の前や酒呑童子と違い、何だか話せば一定の理解を示してくれそうなところが、日本三大悪妖怪の3番手になる所以なのかも知れない。

 

- シェア -